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大量生産方式を続けていくというのは、「いらないモノ、売れないモノ」を世界一の人件費をかけてつくっているという図式にならないだろうか。
これは実は仕事でもなんでもない。 余分な材料を買い、余分な電気代を払い、むだな在庫のための倉庫代を払い、そこに出し入れするための人件費や運搬費まで払う。

購買も例外ではない。 単価を低減するためには、大量にロットで買いつけるのが得だと考える。
結局は買いすぎるために、在庫の山ができ、倉庫も必要になる。 製品をつくって売るより先に、お金だけが出ていって、単価を低減しても、原価は下がらない。
そのうえ、最後に売れないモノは処分するため、さらにむだなお金がかかる。 つまり、大量生産方式というのは、見た目は生産ラインが華やかに動いているため、とても生産性が高いようで、実は在庫が引き金の悪循環を引き起こしているにすぎない。
もっとも、在庫をゼロにと言っているわけではない。 T生産方式は、在庫をまったく持たないと誤解している人がいる。
しかし、在庫がゼロでは回らない。 在庫基準では、完成品在庫は食品ものでニ日以内、機械もので三日以内、素材在庫は同じく三日以内と五日以内が妥当だ。
「なぜ変えないと生き残れないのか」についての研修の後は、いよいよプロジェクトチームをつくって、モデルラインづくりの段階に進む。 仕組みについての意識改革営業からの受注情報が瞬時に生産現場に入り、生産ラインで、お客様の受注どおりに一セットずつすぐにモノをつくれば、完成品在庫にしろ、素材在庫にしろ、仕掛かり在庫にしろ、ほんの少し持つだけでいい。
仕事にムダなモノづくりが入る余地はないし、余分なお金も出ていかない。 これが多品種少量生産方式の見逃せない要素である。
こうした仕組みへの転換なしには、企業としての生き残りはないという現実を、まずは十分に研修し認識すべきだろう。 意識改革を進めるにあたっては、過去を否定するのではなく、新しい時代に、生き残り、勝ち残っていくために、たとえば多品種少量生産方式をどうすれば実現できるかをスタッフと現場が一体となって考え、実践できるようにもっていく。

誰でも、「いままでのやり方と新しいやり方のどちらがいいか」と聞かれれば、慣れているほうがいいに決まっている。 それをいかに新しいやり方に意識をもっていくかが最初のポイントになる。
改善推進プロジェクトを進めるにあたって、手法の導入よりも先に、「なぜ仕組みを変えることが必要なのか」という意識改革にこだわる理由は、ニつある。 一つは、手法というのは、その企業にマッチしたものでなければならないからだ。
世の中に「T生産方式」について書かれた本はたくさんある。 たしかに手法を導入するだけで、ある程度の効果をあげるのも可能である。
けれども、それ自体はやはりTという組織風土で育まれたものだし、Tを取り巻く環境のなかで、最大限の効果を発揮するものである。 組織風土や環境は企業によって異なる以上、どんなに優れた手法であっても、ある程度のアレンジは必要である。
アレンジ抜きに定着はありえない。 そのため、まずは「何が本当のムダなのか」といったテーマについて、きちんと社員一人ひとりに理解してもらい、その後で手法の導入に移るのを大前提にしている。
二つ目の理由は、導入した手法には現場で改善と実践を繰り返していく姿勢が欠かせない。 そのためには社員一人ひとりが「コスト意識・問題意識」をもって、日々の仕事に取り組む体制もまた欠かせないからだ。
とかくプロジェクトを組んで、ある手法を導入すると、そのときは一生懸命やるものの、しばらくすると、すっかり熱が冷めてしまい、気がつけばもとに戻っていたという話が多い。 これでは本当の改善などできるはずがない。
このプロジェクトは一過性のものではなく、あくまでも全員参加により、現場改善の実践をやり続けていくという意識をしっかり持つ。 それが、導入に際しての大きなポイントになる。

意識の改革で初めて社員一人ひとりも成長するし、それが企業の成長につながっていく。 T生産方式の導入というのは、決して手法の導入ではない。
人を育て、その人によって手法そのものも育てていく方式だという認識が、何より不可欠だ。 社員の意識改革を行なう一方で、実際に改善推進計画を立て、実行していく。
その推進役が改善プロジェクトチームになる。 チームのメンバーは、兼任では好ましくない。
必ず専任メンバーでありたい。 とかく兼任でやりたがる企業も多いが、これまでの手法の延長上で、効率をアップしようというのであれば兼任でもかまわない。
けれども、大量生産方式に慣れ切った企業が、多品種少量生産方式に変わるというのは、手法そのものの大転換である。 価値観や考え方そのものを変える必要がある。
これだけの大転換を成し遂げようとすれば、兼任ではまず無理だ。 何がなんでも専任メンバーで臨む必要がある。
メンバーの数は、大手企業の場合は、すべての部門から選んだ十数名体制が理想で、推進室長には会社のナンバー2をあてるとスムーズに進みやすい。 一方、社員数一○○名くらいの企業の場合は、二〜三名で十分だろう。
ただし、この場合は社長自らが率先して推進にあたる必要がある。 トップ自身の覚悟が問われる改革である。
メンバーも兼任で、自分は参加せず、部課長クラスに任せるようでは生産改革など不可能だと思ったほうがいい。 改善推進計画は、在庫の低減や加工労務費、物流コストの低減などの目標を掲げ、最初の一年間はすべて実績の「半分」に挑戦するケースが多い。

目標を一○%ダウンといった数字に設定すると、従来の延長線上でも可能だが、一気に「半分」となると、まるで違ってくるからだ。 手法そのものを変える必要が出てくるし、実現したときのインパクトも大きい。
O氏も、改善にあたっては、「なんでも半分」と、口癖のように言っていたが、知恵を出し、工夫を重ねていくと、最初は無理と思えたものでも、いつのまにか達成できる。 人間の知恵とは不思議なものだ。
計画づくりにも、発想の転換が必要だ。 定期的な研修会や改善報告会によって、改善とチェックを進め、改善報告会には必ず社長以下の役員も出席して、会社のレベル改善がどのように進んでいるかを十分に検証する。
生産現場の意識改革はどうなのか、モノづくりはどのように変わっているのかを把握する。 そのうえで、現在の問題は何か、解決のためにはどんな改善が必要かを検討して、次のステップに進んでいけばよい。
この社長以下の役員の出席はぜひ必要で、「現場に任せている」では改善は決して進まない。 いわば「責任を回避している」のと同じだ。
熱心に意識改革を進め、研修を重ねてみても、どうしても突破できない壁がある。 「いまからやろうとしているのは、具体的にどういうことなのか」を身体で実感できないと、なかなか人間というのは納得しないからだ。

まして大量生産方式に慣れた生産現場の人間に、お客様からの注文に応じて、一個ずつつくっていくと言っても、そんなことをすれば段取り替えも大変だし、生産性も落ちるに決まっていると、どうしても先入観が働く。

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