アーティスティックなコンタクトレンズ 処方箋
エアコン水がこぼれた机の上に、濡れぞうきんを置くと、机の水分をぞうきんが吸い取り、さらにはぞうきん表面から蒸発していきます。
そのぞうきんを取り除く現代の住環境は、すきま風ひとつ入らない密閉型が増え、エアコンを利用する頻度が高くなっています。
ところが、エアコンは室内を乾燥させるため、エアコンのかかっている部屋に長時間いれば、目の表面を覆っている涙が蒸発しやすくなります。
エアコンの風が直接当たれば、さらに目は乾き、ドライアイが進みます。
オフィスやリビングなどで、座席がエアコンの吹き出し・に向いている場合には、風が直接当たらないように配置を変えましょう。
また、濡れタオルや加湿器を使って、室内の乾燥を防ぎましょう。
コンタクトレンズには、ソフトレンズとハードレンズがあります。
ソフトレンズの素材には、水分が含まれています。
そのため、角膜の上に載せると、ソフトレンズが目の表面の涙を吸い取って目の表面が乾き、ドライアイになりやすくなります。
一方、ハードレンズの素材には、水分は含まれていません。
そのため、ソフトレンズに比べると、角膜の上に載せても涙の蒸発は少ないといえます。
沸騰させたお鍋に鉄のブタをかぶせたら、蒸気が蓋から滴り落ちて、外には蒸発しにくいのと同じ現象であれば、ドライアイになりにくいのかというとそうでもなく、ハードレンズの材質は硬いので、角膜の上に載せてまばたきをすると、ゴロゴロ動いて、目を刺激します。
普通、目の中にゴミが入れば反射的に涙が出ますが、ハードレンズによる刺激が慢性的になると、感度が鈍り、反射性分泌(刺激性分泌)が減って、ドライアイになりやすくなります。
このように、ソフトレンズにしても、ハードレンズにしても、コンタクトレンズはドライアイには大敵です。
また、ソフトレンズにもハードレンズにも当てはまることですが、汚れてくると、汚れによって表面積が増えたり、レンズの水濡れ性が落ちたりして、涙の蒸発が増えコンタクトレンズの装用期間を守る、レンズを洗うなど、常にきれいな状態で装用することも大切です。
なお、第3のコンタクトレンズとして、シリコーンハイドロゲルという素材のレンズが登場しています。
このレンズは、どちらかというと、やや汚れやすいという欠点もありますが、含水率が低くて、酸素透過性も高く、ハードレンズのように硬くもありません。
目に優しいコンタクトレンズとして注目されています。
コンタクトレンズを使用する場合は、人工涙液を点眼するようにしましょう。
ただし、防腐剤が入っていないことが重要です。
特にソフトレンズの場合、防腐剤が入っていると、その成分がレンズに吸着して目の表面に障害を起こす場合があるからです。
「ストレスとドライアイ」と聞くと、どんな関係があるのか不思議に思う方もいることでしょう。
人間は自律神経によって、体温や呼吸、血圧などをコントロールしています。
自律神経には、緊張時に働く交感神経と、リラックス時に働いている副交感神経があり、涙の分泌は副交感神経によって支配されています。
例えば、副交感神経が優位になり、眠くなってあくびをすると自然に涙が出てきます。
逆に、交感神経が優位で興奮しているときには、唾液が出なくなって・が渇き、瞳孔が開いて涙の分泌は減って目の表面は乾燥しやすくなります。
けんかをしているときには交感神経が優位なので瞳孔は開き、・は力ラカラに渇きますが、仲直りしてホッとした瞬間に副交感神経が優位になり、涙が流れてくるといった経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか?このように、交感神経から副交感神経にスイッチが入るときに、涙の出ることが多いものです。
極度のストレス状態は交感神経が優位な状況であり、ストレスが続くと、なかなか副交感神経にスイッチが入らず、涙は出にくくなります。
ドライアイが増えている背景には、ストレス社会も影響しているといえるでしょう。
今の時代、ストレスを全くなくすことは難しいかもしれません。
しかし、ストレスを受け止め、上手につきあっていくことで、ストレスに対抗する力を高めることができます。
そのためには、1日3食をとり、適度な運動と、良質の睡眠を心がけ、規則正しい生活を送ることが基本です。
特に、ドライアイ予防には、十分な睡眠をとることが欠かせません。
夜は、涙の分泌量が少なくなるため、夜間に作業をすると目に大きな負担がかかります。
早めにベッドに入り、目を休めましょう。
また、ストレスを感じたときに、お風呂や音楽など心と体の緊張をほぐす、自分なりの解消方法を持っておくとよいでしょう。
ドライアイの治療目が疲れやすかったり、目に違和感を覚えたりして、ドライアイが疑われる場合には、早めに眼科を受診し、適切な治療を行うことが大切です。
最近は、ドライアイの治療に積極的に取り組んでいるドライアイ外来も増えています。
ドライアイ外来では、一般的に「問診」←「視力などの検査」←「ドライアイの検査」が行われます。
ドライアイの検査では、角膜の表面の状態や涙の分泌量や質を調べます。
検査の結果、ドライアイかどうか、ドライアイであればどのタイプのドライァイかを診断し、症状に応じた治療を行っていくことになります。
ドライアイ治療の基本は、人工涙液による点眼療法です。
点眼療法で大事なのは、防腐剤の入っていない人工涙液を使用することです。
通常の点眼液は、ボトルの中にカビや雑菌が繁殖しないために防腐剤が入っています。
しかし、それは目の細胞に毒としても働きます。
特にドライアイの場合、頻繁に点眼することが必要なために、防腐剤の影響を受けやすくなります。
ドライアイで目の表面に傷がついていたりすれば、なおさらです。
ただし、防腐剤の入ってない点眼薬は使い切らなくてはいけなかったり、あるいは短期間しか使用できないので、扱いに注意しましょう。
人工涙液の点眼だけでは、自覚症状や目の表面の傷が改善しない場合には、「涙点プラグ挿入術」を行う場合もあります。
「涙点プラグ挿入術」とは、涙が排出される涙点(目元に上涙点と下涙点のふたつある)に、シリコン製のプラグを挿入することで、涙の排出(分泌ではありません)を軽減する治療法です。
涙には、人工涙液では補うことのできない、細胞の分裂や成熟を制御するタンパク質やビタミンなどの重要な成分が含まれています。
涙点プラグを挿入することで、栄養に富んだ自分のナチュラルな涙で目を潤すことができます。
この治療は、手術とはいえ元々開いている涙点という孔にシリコン製のプラグを挿入するだけで、切開したり、縫ったり、出血することもなく外来で行うことができる簡単な処置です。
痛みもなく~2分で終了します。
上涙点と下涙点のどちらか一方をふさぐ場合と、両方をふさぐ場合で使用するプラグの本数が異なり、それによって費用も異なります。
その他の治療法として「血清点眼(患者さん本人の血清成分を点眼液として使用)」「眼軟喜(就寝前につける眼軟菖。
当院では防腐剤無添加のものを輸入して使用。
朝、目が乾いて開けられない人に)」「屈折矯正手術(ドライアイによってコンタクトレンズが装用できない人に。
P*参照)」などがあります。
ドライアイは、慢性疾患です。
症状がよくなっても、治療をやめると再び症状が悪化することがあります。
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